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AIで作ったExcel、一度計算が合っただけで、次の月も正しいと思うな
一度の集計が合っても、行追加や訂正、元データ差替えの後まで合うとは限りません。会社の正本へ切り替える前に、更新試験と切戻しの証拠をそろえます。
毎月の集計を楽にしようと、AIにExcelの数式を作ってもらった。先月のデータを入れると、売上合計も部門別の数字も従来の表と一致した。これなら使えそうだ。翌月分をコピーして、最後の行へ新しい明細を足す。
その明細は、本当に集計へ入っているでしょうか。一度数字が合ったことは成果です。ただし、入力や更新の条件が変わった後も合う証拠ではありません。いま確かめたいのは、表を全社で採用する決裁ではなく、あなたが次の集計へ進んでよい根拠です。
一度合った式が、次の月も合うとは限らない
合計が一致したときは、何を比べたかも残します。対象月、元データ、集計項目、内訳、使ったファイルの版。それが、その確認で言える範囲です。
翌月は、取引先が増える、取消が入る、部門名が変わる、締め日をまたぐといった違いが出ます。前の月には現れなかった条件を、同じ式が正しく扱えるかは、別に確かめる必要があります。
セル参照は、数式がどのセルや範囲を使うかという指定です。最後の行に足した明細が範囲の外なら、見えている明細が合計に入らないことがあります。表示された数字だけでは、どの行を数えたかは分かりません。
また、入力を直した後に結果を更新する再計算も確認対象です。式ではなく値を貼った箇所、外部データの差し替え、ファイルの設定など、更新後に古い結果が残る条件がないかを見ます。
「先月と合った」を、まだ入れていない今月のデータまで確認したことにしないでください。
空欄、追加行、端数を変えて、結果の理由を確かめる
試験は、業務に使うファイルを直接書き換えず、許可されたデータのコピーで行います。まず通常の一件で、期待する結果と実際の結果を比べます。次に、自分の仕事で起こる条件を一つ変えます。
| 変える条件の例 | 確かめること |
|---|---|
| 集計範囲の最後に明細を追加する | 追加した一件が、合計と正しい内訳へ入るか |
| 取消や負の値を入れる | 決めた時点・方法で元の売上から差し引かれるか |
| 必須項目を空欄にする、同じ明細を重ねる | 黙って集計するのか、気づける表示になるのか |
| 小数や端数のある値を入れる | 丸める単位と順序が、業務の決め方に合うか |
| 部門や対象月を変える | 同じ明細が、正しい部門・月へ入るか |
| 元データを差し替えて保存し、開き直す | 新しい入力を反映した結果が残っているか |
これは全業務へ一律に適用する項目ではありません。返品、年度替わり、組織変更など、実際に値や扱いが変わる場面へ置き換えます。試していない条件を、合格の欄へ混ぜないことが大切です。
合計だけでなく、明細との対応も見ます。同額の二件を違う取引先へ割り当てても、総額は同じです。「一致した数字」の背後で、どの一件がどこへ入ったかを追えば、総額では見つからない差を確かめられます。
差が出たら、AIに数字を合わせさせる前に業務の定義へ戻る
MicrosoftのExcelのAI支援に関するFAQ は、数式や分析の説明が流暢でも不正確な場合があり、利用前に確認・編集・検証するよう案内しています。これは特定製品の提供者による制約の説明です。すべてのAI作成表の誤り率や、自社の表に欠陥があること、従来の表が正しいことを示す資料ではありません。
だから、新旧の表に差が出ても、「以前と同じ数字に直して」とだけAIへ頼まないでください。元データが違うのか、式が違うのか、取消や端数の扱いが違うのかを分けます。
取消をどの月へ反映するか、部門移動をいつから数えるかは、数式が勝手に決めてよいことではありません。自分が決める役割でなければ、その数字を管理する業務担当へ確認します。従来の表にも誤りがあり得るため、差を見つけたことと、どちらが正しいか決めたことは別です。
合わせるのは昔の数字ではなく、確認した元データと、業務で決めた計算の意味です。
ここでの更新試験は、本稿の編集上の提案です。Microsoftが定めた必須チェックリストでも、試せばすべての集計が正しいと保証する手順でもありません。
直した式を共有する前に、版と確認結果を残す
式を直したら、差が出た例だけでなく、以前に通った例も試します。一つの月を合わせる変更が、別の月や部門の集計を崩していないかを見るためです。
記録には、元データとファイルの版、変えた式や範囲、期待した値と実際の値、差の理由、まだ試していない条件を残します。「最新版」だけでは、後からどの確認結果に対応するファイルか分からなくなります。
正本とは、その業務で最終的に正しい記録として扱うものです。自分の検証用ファイルを作れたからといって、共有先の正本を上書きしたり、既存の集計を廃止したりする権限まで得たことにはなりません。共有や置換が必要なら、確認結果と未確認の範囲を添えて、管理する担当者へ渡します。
差が解決しない間は、新しい表の出力を確定した報告や請求へそのまま使わず、担当者へ差を知らせ、現在認められている確認手順に従います。旧表を残すことと、旧表が必ず正しいと思い込むことも分けてください。
次の月へコピーする前に、変わる一件を確かめる
新しい月の集計を始める前に、追加行、取消、端数など、先月と条件が変わる一件を選んでください。期待する結果を業務担当と確かめ、実際の値と明細を比べます。違ったなら、理由を調べてから報告へ進みます。
一度合ったことを繰り返し使うのではなく、条件が変わったときに、何を確かめ直したかを残す。 その積み重ねで、AIが作った式を、自分が根拠を持って使える集計へ変えていきます。